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設計者の責任
住宅の設計業務は多岐にわたります。
例を挙げると
- 基本的な要望の整理(家族構成、ライフステージ、ライフスタイル、価値観)
- 敷地条件(方位、形状、法的規制、周辺環境、地盤状況、インフラ)
- 機能的要素【暮らしやすさ】(ゾーニング、動線計画、各部屋の計画)
- 性能・技術的要素【快適性と安全性】(耐震性、断熱性、気密性、空調計画、パッシブ、採光・日照計画、設備計画)
- デザイン・美的要素(外観デザイン、内装デザイン、外構エクステリア)
- 予算計画
- 関連法規
これらの要素は一つひとつが独立したものではなく、すべてが相互に関連しあっています。
例えば窓の大きさを少し変えただけでも断熱性能や採光、コストなどに影響します。
早い段階で間取りの大枠が決まってきますが、それは設計要素の一部にしかすぎず、全体の設計バランスを図りながら最終的に間取りが決まるといっても過言ではありません。
その設計段階で最も重要な部分として、耐震性を担保する構造計算があります。
わかりやすく表現するなら「柱」「梁」などの家を構成する重要な部分を設計することです。
その構造計算の手法にもレベルがあります。
レベル1:仕様規定(壁量計算)
建築基準法で定められている最も簡易的な方法で、計算コストも安く、設計期間も短期で済みます。ただし、安全性の検証レベルが最低限で、大地震に対しての科学的な裏付けが弱く、安心感は最も低くなります。
レベル2:性能表示に基づく計算(品確法)
「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、住宅の性能を等級で示すための計算方法です。「長期優良住宅」の認定や「住宅性能評価書」を取得する際に用いられることが多く、耐震等級2や3を目指す場合によく使われます。
こちらは性能が見える化されており、「耐震等級3」などで表されます。仕様規定よりも計算コストはかかりますが、仕様規定よりも高いレベルの安全性が確保できます。建物全体のバランスは見ますが、次に紹介する「許容応力度計算」のように部材一本一本検証するわけではありません。
レベル3:構造計算(許容応力度計算)
許容応力度計算は最も詳細で信頼性の高い検証方法です。一般的に構造計算と言えばこの許容応力度計算を指します。木造三階建てになると必ずこちらの方法で検証しなくてはいけません。主な計算内容は、建物の自重や積載荷重、積雪、風、地震などあらゆる外力について検証します。また、柱や梁一本一本、基礎に至るまで部材に生じる応力を計算し、その部材が持つ性能(許容応力度)を超えていないかを個別に検証します。
計算書は数百ページにも及び非常に精密です。建物の安全性を部材レベルで科学的に証明するため、最も安全性が高い方法とされています。同じ「耐震等級3」であっても、この許容応力度計算によって検証されたものは、他の方法で取得したものより信頼性が高いと言えます。
構造計算にコストはかかりますが、最適な部材検討ができるのでレベル1や2よりも材料コストを抑えることができます(プランにもよりますが・・・)メリットとしては安全性が最も高い、設計の自由度が高い、建物の資産価値も高まるなどがあります。
弊社ではレベル3の許容応力度計算を社内で計算しています。
社内で計算?当たり前なのでは?と思われるかもしれませんが、実は許容応力度計算を採用している住宅会社も自社で計算はせずに他へ外注している住宅会社は多いと思います。理由は計算が複雑すぎて手に負えない、計算する時間がない(他にやることが沢山ある)、技術取得にコストが掛かるなどです。
また、近年は柱や梁は工場で加工するプレカットが主流となっています。プレカット業者は住宅会社から得た平面と立面の情報から柱や梁の配置を仮に行いプレカット図を作成します。仮とは言っても全くダメではないのですが、このプレカット図が安全性を考慮して作成されていると住宅会社側の間違った認識があります。そしてそれがそのまま現場に採用されることはよくあります。こうなると誰に設計の責任があるのかわかりません。
私たちは柱一本、梁一本まで安全であることを確認し、お客様の大切な家の設計に対して責任を持つために、自社で許容応力度計算を行っています。
野口